ロードバイクにおける最適なクランク長はおよそ身長の10分の1というのが定説となっています。
現在、多くの完成車メーカーなどは以下の様な仕様になっています。
身長160cm/クランク長165mm
身長165cm/クランク長167.5mm
身長170cm/クランク長170mm
身長175cm/クランク長172.5mm
身長180cm/クランク長175mm
時代背景や流行により若干の変化がありましたが、運動生理学、物理学的にもある程度証明されており、現状は「身長の10分1」説に一旦落ち着ていると言えるでしょう。
ただし最近、タイムトライアル(以下TT)やトライアスロン(以下TR)の競技では通常より5mm短いクランクを使用することが徐々に多くなってきました。
上記の2種目に共通している「DHポジション(TTポジション)」がそのキーワードとなります。
08年ロード世界選手権にてリーヴァイ・ライプハイマー選手のTTポジション(写真/CYCLINGTIME.COMより)
このDHポジションは、平地でのスピードを追求し、エアロダイナミクス(空気力学)により導かれた理想的なポジションなのですが、通常のロードポジションに比べ上半身が窮屈になり、プロレーサー以外のライダーでは思う様なパフォーマンスが発揮できない場合が非常に多く問題なのです。
◯マイナス5mmのメリット(TTとTRでは、若干異なった理由による)
TTの場合/高速巡航を維持するため、空気抵抗軽減を目的とした「深い前傾姿勢」と「ひじが締まった」ポジションが特徴。
股関節付近の動きが制限されるため大半のライダーは通常のポジションに比べペダリング出力が低下する。
-5mmのクランク長により股関節の動きが制限されてもスムーズなペダリングが可能となる。また、サドル高を5mm上げる事で最大筋力付近でのペダリングとなりトルクも向上する。
さらに、ペダリングのしやすさと+5mmのサドル高の影響でより「深い前傾姿勢」と「ひじが締まった」ポジションが可能となる。
上記メリットの詳しい検証は【空力徹底】スタッフブログにて後日公開予定です。
TRの場合/TTの場合はスピードアップが目的であるが、TRでは、ペダリングの効率性とバイクライディングの快適性を主に追求している。効率性と快適性の向上により総合的なパフォーマンスが上昇することはトライアスロン界では常識となっている。
◯マイナス5mmのデメリット
通説では、クランク長が短くなると力学的に大きいギアを回しにくくなり、およそ3%前後出力が低下すると言われてる。
しかし最近の研究では、クランク長を5mm短くした程度では出力に有効な差が無く、各種データからも全く実証されていない。
これは生理学的にはクランクを短くするメリットと力学的なデメリットが相殺し合っている点や、「クランク長が短くなったので大きいギアを踏めない」というメンタル的なプラシーボ効果が大きいと思われる。
ロードレース、ヒルクライム等ではポジションやスピード(出力)の変化が大きいため短いクランクに否定的な意見やデータもあるが、TTやTRにおいてはマイナス5mmのクランク長のデメリットは全く無いと言える。
日本人成人男性の平均身長は約172cmとなり、多くのライダーは170mmか172.5mmのクランクを使用してると思います。
それぞれ-5mmのクランク長では165mmと167.5mmとなるが、製品ラインナップとしてはシマノD/Aやスギノのみで海外の有名ブランドでは皆無に近い状態ですが…。
しかし今回、朗報が入りました!!
本場ヨーロッパプロチームも採用し、あの楕円リングで注目されているスペインROTOR社製特注クランクが、数量限定で再入荷しました。
◯ROTOR 3DプラスCRANKS(限定生産)
クランク長/165mm&167.5mm
PCD/110mm(5アーム)
プライス/56,000円(税別)
◯ROTOR 3D24CRANKS(限定生産)
クランク長/165mm
PCD/110mm(5アーム)
プライス/36,000円(税別)
注)クランクのみ価格です。BBとチェーンリングは別売です
数年前に生産されから今まで欠品していた事を考えれば、今回の入荷分からしばらく入手困難になるかもしれません。
TTスペシャリストとトライアスリートの方は、どうぞこの機会をお見逃しなく。